まだお髭がな
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まだお髭がな
「でっかい赤毛の獣のような男の子だよ」アンヘグは笑いながら言った。「おまけに空腹になると、一マイル四方に聞こえそうな声で泣きわめくのさ」
バラクはしまりのない顔でにやにや笑うばかりだった。
階段を登りきり、大広間の前の狭い控え室にさしかかったところで、おそろいの緑色のマントを着てばら色のほおをした少女が二人、そわそわと一行の到着を待っていた。赤みがかった金髪をみつ編みにした少女たちはエランドよりもわずかに年上のようだった。「おとうさま!」小さい方の少女が金切り声をあげてバラクに駆けよってきた。大男は少女を抱き上げると音をたててキスをした。一、二歳年上らしいもう一人の少女はいくらか威厳のようなものを漂わせて近づいていったが、あっと言う間に父親の腕にさし上げられた。
「おれの娘たちだ」バラクは残りの者たちにむかって言った。「こちらがグンドレッド」かれは赤いあご髭に姉妹を押しつけるようにして言った。少女は父親のちくちくする髭の感触にくすくす笑った。「こっちのおちびさんはテルジーだ」かれは妹娘に愛情のこもったまなざしを送った。
「あたしたちにちっちゃな弟が生まれたのよ、おとうさま」年上の娘はしかつめらしい顔で言った。
「ほほう、そいつはすばらしい」バラクはせいいっぱい驚いたふりをしてみせた。
「おとうさまったらもう知ってたのね!」グンドレッドが非難するような声を出した。「あたしたちが一番はじめに教えるはずだったのに」
「弟の名前はウンラクというのよ。おとうさまとおんなじ真っ赤な髪の毛をしているわ」テルジーが言った。「でもいのMIOGGI 好唔好」
「今に生えるから大丈夫だよ」バラクは娘を安心させるように言った。
「ものすごくおっきな声で泣くの」グンドレッドが報告した。「それに歯が一本もないの」
そのときリヴァの〈要塞〉の巨大な扉が勢いよく開き、赤いマントをまとったイスレナ王妃が、愛らしい金髪のアレンド人の娘とバラクの妻メレルを引きつれて姿をあらわした。メレルは全身緑色の衣服をまとい、腕に毛布でくるまれた包みを抱いていた。彼女の顔は誇らしさにあふれていた。
「わが夫にしてトレルハイム伯爵たるバラク卿よ」彼女は固苦しく儀式ばった口調で言った。
「わたくしは無事お役目を果たしました」メレルは毛布でくるまれたものをさし出した。「どうかトレルハイムの後継ぎたるあなたさまの息子をごらん下さいませ」
バラクは何ともいえない不思議な表情を浮かべて、娘を床におろした。かれは妻のもとに近づくと、毛布にくるまれた包みを受け取った。大男は無骨な指をぶるぶる震わせながら、初めての息子の顔を見るために毛布をそっとめくった。ガリオンの方からは赤ん坊の髪しか見えなかったが、それが父親とそっくり同じ赤色だということだけはわかった。
「ウンラク、トレルハイムの後継ぎにしてわが息子よ」バラクはがらがら声で赤ん坊に話しかけた。そしてかがみこむと手の中の小さな息子にキスをした。髭のちくちくする感触に赤ん坊はくっくっと笑い声をたてた。かれは小さな二本の手をのばして父親の髭をつかむと、子犬のように頭をすり寄せた。
「こいつはなかなかの腕力の持ち主だぞ」赤ん坊に髭をひっぱられて顔をしかめながら、バラクはかたわらの妻に話しかけた。
メレルの瞳に驚いたような色が浮かんだが、あいかわらず顔は無表情のままだった母乳 研究。